鉄腸野郎と昔の未公開映画を観てみよう!

鉄腸野郎Z-SQUAD!!!!!の別館。ここでは普通の映画史からは遠く隔たった、オルタナティブな"私"の映画史を綴ることを目的としています。主に旧作を紹介。

ユーゴスラビア映画

Kokan Raconjac&"Izdajnik"/セルビア、裏切者の鎮魂歌

"Izdajnik" / "裏切者" (監督:Kokan Raconjac, セルビア, 1964) 舞台は第2次世界大戦中、そして今作の主人公はパルチザンに所属する男である。彼はドイツ軍に支配されたベオグラードで破壊活動を行っていたが、ある時ドイツ兵に捕まり、凄惨な拷問を受ける…

Boštjan Hladnik&"Peščeni grad"/スロヴェニア、三角関係の行く末

"Peščeni grad" / "砂の城" (監督:Boštjan Hladnik, スロヴェニア, 1963) 2人の男が車で道を走り続けている。そこで現れたのが1人の謎めいた女性だった。彼女は同乗したいと頼んでくるのだが、何か秘密がありそうだ。それでも彼らは女性を車に乗せて、再び…

Agim Sopi&"Njeriu prej dheu"/コソボ、受難と尊厳

"Njeriu prej dheu" / "土より生まれし男" (監督:Agim Sopi, コソボ, 1984) 今作の主人公はソコルという老人だ。彼はコソボの田舎町で農民として暮らしていたが、貧困は深まるばかりだ。それ故に息子の家族とともに、トルコへと出稼ぎに赴くのだが、その生…

Milutin Kosovac&"Devetnaest djevojaka i jedan mornar"/セルジュ・ゲンズブール in ボスニア

"Devetnaest djevojaka i jedan mornar" / "19人の少女たちと1人の海兵" (監督:Milutin Kosovac, ボスニア, 1971) ナチによる侵攻が激化していたボスニアのある地域、劣勢に追い込まれたパルチザン部隊だったが、傷ついた彼らを救うため旅を続けるのが海兵…

Miomir Stamenković&"Si të vdiset"/東欧、パルチザン映画の系譜

"Si të vdiset" / "どう死すべきか?" (監督:Miomir Stamenković, コソボ, 1972) 舞台は第2次世界大戦時のコソボ、この地は枢軸国であるイタリアの占領されて暗黒の時代を迎えていた。それでもパルチザンたちはイタリア兵たちに対して反抗を続け、戦いに身…

Branko Gapo&"Vreme Bez Vojna"/マケドニア、若さは理想に燃え

"Vreme Bez Vojna" / "戦争なき時代" (監督:Branko Gapo, マケドニア, 1967) 青年フィダンは父であるディチョの死後、彼の遺志を弔うため故郷の村へと舞い戻ってきた。それと同時にフィダンはこの地で農夫となり新しい生活を始めようと計画していた。そんな…

Isa Qosja&"Rojet e mjegullës"/コソボ、現実と幻想の狭間で

"Rojet e mjegullës" / "霧の守護者たち" (監督:Isa Qosja, コソボ 1987) チトー政権下において少数民族であるアルバニア人は、社会体制から爪弾きにされ差別を受けていた。コソボのある地域に位置する町、そこに住んでいた1人のアルバニア人作家もまた、警…

Zvonimir Berković&"Rondo"/クロアチア、愛はチェスのごとく

"Rondo" / "輪舞曲" (監督:Zvonimir Berković, クロアチア, 1966) ムラデンは裁判官として勤務する、自由気ままな独身男性だ。彼にはフェジャという親友がいるのだが、ある時から日曜日の午後4時に彼の部屋へと赴き、チェスをやり始めることになる。フェジ…

Puriša Đorđević&"Jutro"/ユーゴスラビアの血塗られた夜明け

"Jutro" / "朝" (監督:Puriša Đorđević, セルビア, 1967) その時ユーゴスラビアは歓喜に湧いた。イタリアやナチスドイツら枢軸国の敗北によって、第2次世界大戦はとうとう終わりを告げたのである。彼らからの支配を逃れ自由を獲得した兵士たちは喜びに浸り…