Julio Luzardo&"El río de las tumbas"/60年代、コロンビアに満ちるもの
"El río de las tumbas" ./ "墓碑流るる河" (監督:Julio Luzardo, コロンビア, 1965)
60年代はコロンビアの農村、ある男たちが秘密裏に川へと死体を遺棄する。翌日、知的障害を患うロバ引きの男がその死体を見つけることになる。首都から調査官もやってくるのだが、事態はあまり進展することがない。そのうちコロンビアのお祭りの日がやってくる。
60年代のコロンビアの雰囲気が濃厚に反映されている作品。殺人事件が起きているというのに村長も警察官もかなり適当な態度で、首都から来た調査官もその適当さに参っている様子を見せる。正直言って適当以外の何物でもない。コロンビアの歴史を外部からしか知れない自分としては、コロンビアのわずかな平穏な時代を今作は象徴しているように見えてくる。
終盤も割と牧歌的な雰囲気が漂いながらも、しかし最後には真相を追求していた人物が殺害され荒涼たる最後を迎える。調べるとこの前年に、反政府的な左翼ゲリラFARCが誕生し内戦が激化の一途を辿っている。その不気味な未来を描いているようなラストであり、現地のコロンビアの人々にとってはどういう意味を持つのか聞いてみたいところである。