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Stole Popov&"Crveniot konj"/故郷より、遠く離れて

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"Црвениот коњ" / "赤い馬" (監督:Stole Popov, 北マケドニア, 1981)

第2次世界大戦後、ギリシャではファシスト政権が隆盛を誇っており、それに立ち向かうレジスタンスたちがいた。そこにはこの国に住む北マケドニア人の姿もあった。しかしギリシャ民主軍の敗北後、彼は武装を解き、敗走せざるを得なくなる。

同じく敗北したギリシャ人兵士たちとともに、北マケドニア人たちは船に乗りこむ。しかし国籍の違いから彼らは反目しあう。ギリシャ人が歌を唄えば、北マケドニア人たちは同じ歌をマケドニア語で歌う。ここには北マケドニア人の矜持というものが焼ついているのだ。

船が向かった先はソビエト連邦だった。共産主義下のこの国で北マケドニア人たちは英気を養うことになる。だがこの国での生活に慣れていくうちに、その日常へと埋没していく。ボリスという中年男性もその1人だ。彼はオルガというロシア人女性と結婚し、幸せな家庭を築いていた。

しかし故郷を想いながら死んだ友人の姿を目にした時、彼の心には故郷への郷愁が湧きあがる。安らかな幸福を捨て去り、ボリスは一路ギリシャの故郷へと向かう。最初、彼は皆から歓迎されるのだったが、徐々に自身が招かれざる客であることを悟らざるを得なくなる。

今作は北マケドニア人の知られざる歴史と苦難を描き出した受難劇である。憎悪の末に愛馬を殺されたボリスは復讐に打って出た後、悲劇的な死を遂げる。そうして彼は北マケドニアの歴史の中へと消えていったのである。

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