鉄腸野郎と昔の未公開映画を観てみよう!

鉄腸野郎Z-SQUAD!!!!!の別館。ここでは普通の映画史からは遠く隔たった、オルタナティブな"私"の映画史を綴ることを目的としています。主に旧作を紹介。

Walter Hugo Khouri&"As Filhas do Fogo"/ブラジル、炎の娘たち

"As Filhas do Fogo" / "炎の娘たち" (監督:Walter Hugo Khouri, ブラジル, 1978)

ブラジル。ある2人の女友達がリオから保養地である町へとやってくる。彼女たちはここで気ままな時間を過ごしながらも、ある時超心理学を研究しているという女性に出会うこととなる。この出会いをきっかけとして、彼女たちは不思議な現象の数々に巡りあうこととなる。

今作は過去に多くあった同性愛的な隠喩を多用する、例えばベルイマンの「ペルソナ」やアルトマンの「3人の女」のような映画の系譜に位置する作品だ。女性同士の秘めたる愛が思わぬ躍動を見せる作品群の数々に属する訳である。

が、これらの映画にあった独特の魅力は今作には余りない。今作の監督 Walter Hugo Khouri(ウォルター・ユーゴ・コーリ)は“Noite Vazia"(実は日本でも「夜の遊び」という邦題で公開されている)などブラジル映画界に残る傑作を多く作る、ブラジル映画史随一の映画作家(「夜の遊び」は私も観てる。なかなかいい)なのだが、今作にはキレがない。全てを台詞で説明しようとしている故に、過去作であったヴィジュアル的な凄みがない。最後はなかなかインパクトがある奇妙な感じでいいのだが、全体的には微妙だ。それ故、かなり惜しいというべき作品。超心理学とレズビアニズム、昔を舞台にするなら格好のテーマすぎるのに!

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